梶原昂希を考える ~アンチセイバーな打撃成績と魅力~

考えるシリーズ

こんにちは!三浦ベイ輔です。

本日は我らが期待の若手、梶原昂希選手について考えていきたい思います。

昨年、今年と2軍で好成績を残し、現在は1軍に帯同している梶原選手。

個人的には尖った能力を持つ、とても面白い選手だと思っています。

ただ1軍での合計打席はまだ50打席に満たない選手。
そもそも“梶原選手がどのような打者なのか”がまだまだ理解されていないように感じます。

今回は梶原選手の2軍データ、指標から
「そもそも梶原選手がどのような選手なのか」
「どのよう魅力があるのか」
を考えてみたいと思います。

アンチセイバーな打撃成績

まずは梶原選手の今年の2軍主要成績を見てみましょう。

2023年 梶原昂希 2軍成績
打率.325
HR 6
OPS.813

打率はリーグ2位。ホームランを6本放つ長打力を持ち合わせながらもハイアベレージを記録しています。1軍に昇格するのも当然の成績ですね。

しかし一方で
「梶原選手は1軍で活躍するのは難しいのではないか?」
という声も耳にします。
その理由として多くの方が唱えるのが「三振率」と「四球率」です。

2023年 梶原昂希 2軍成績
K%(三振割合):26.8%
BB%(四球割合):3.6%

K%はファームで規定到達選手の中で下から4番目、BB%は下から2番目の数値です。

近年セイバーメトリクスの考え方が日本にも浸透しつつあり、打者を評価する上で大切にされることも変わってきました。

打率よりも出塁率の方が重要であるという考え方から、BB%という四球を選ぶ能力、選球眼は打率と同じように大切な指標として見られています。

また、打者は打球が飛ぶ場所をコントロールすることはできず、BABIP(インプレー打球が安打になる割合)はどの打者も.300程度に収束するという考え方もメジャーになってきたことから、三振数を減らし、インプレー打球を増やすことが出塁率を上げるにあたって大事なアプローチであるとされています。

そしてこの2つの指標(特にK%)は比較的1軍成績と2軍成績の相関関係が高い指標と言われています。
私自身も2軍成績をチェックする上でまず第一に確認する指標です。

以上のことを考えると「1軍での活躍には課題がある」と考える人がいるのも納得できる部分もあります。いわゆる「アンチセイバーな選手」と言えるでしょう。

梶原選手が高打率を残せる理由

いわゆるアンチセイバーな打撃成績の梶原選手の昨年の打率は.270、そして今年に関しては打率.325とファーム2位の好成績。

何故三振が多いのに高打率を残せているのか。
ここで梶原選手の過去2年のBABIP(インプレー打球が安打になる割合)を見てみましょう。

梶原昂希 BABIP(2軍)
2022年:.384
2023年:.433

!?!?

基本的には.300前後に収束すると言われているBABIP。2年連続でこの数値は異常値です。

何故ここまでBABIPが高いのか。
もちろん”運がいい”というのが真っ先に考えられる理由ですが、それだけでは味がないですよね。
ということで打球の質を見ていきましょう。

打球の強さ 2023年
Soft%:10.9%
Mid%:53.4%
Hard%:35.8%

まず特筆すべきは弱い打球(Soft%)の少なさ
10.9%という数値はファーム規定到達選手の中で圧倒的に少ない数字であり、1軍選手含めても最小。同じく打球の質が良い知野選手や巨人の萩尾選手でも20%台なので10.9%という数値は異様な数値であると言えると思います。
また、強い打球の割合(Hard%)もファームTOP5に入る数値。打球の質が素晴らしいことは一目瞭然です。

これは梶原選手の打席でのフルスイングこそがもたらす数値だと個人的には考えています。どの球でも強いスイングをすることができるため、三振数が増える一方で、打球の質は良くなると考えていいのではないでしょうか。

続いて打球の方向を見てみましょう。

打球の方向
引っ張り:25.4%
センター:40.4%
逆方向:34.2%

特徴的なのは引っ張り打球が少なく、逆方向への打球が多いことです。
引っ張り打球はファーム規定到達選手で2番目に多い数値。逆方向への打球も規定到達選手で2番目に多い数値です。
通常強くスイングできる選手は引っ張り割合が多くなりがちですが、梶原選手はしっかりとポイントを自分の近くまで引き込んでスイングが出来ているため、センターから逆方向に強い打球を打つことが出来ています。
これも梶原選手の不思議な特徴の一つですね。

続いて内野フライの割合を見てみましょう。

内野フライの割合:3.6%

はい、これも凄い数値です。
内野フライの割合はファーム規定到達選手で最も少ないです。2番目に少ない選手が阪神の井上選手で6.8%ですので圧倒的です。

内野フライは三振と併せて「完全アウト」と呼ばれ、ヒットになる確率がほぼない打球です。
梶原選手は三振割合が高いものの、内野フライの割合が低いため、完全アウトの割合(三振+内野フライの割合)で言えば、むしろファーム平均を上回る水準に上がってきます。

おそらくボールの上半分を強く叩くバットの出し方であるため、ポップフライになりにくいのだと考えています。

以上のことを踏まえると梶原選手は

“強くスイングし、センターから逆方向に、ゴロ、ライナーの強い打球を放つことができる選手”

であることがわかるかと思います。

BABIPが高いことはもちろん幸運によるものもあるかもしれませんが、三振率が高くとも高打率を残す理由は以上のような打球の質によるものも大きいと考えています。
どうでしょう。とっても魅力的じゃないですか?

個人的にはあまり三振率は気にせず、自分のスイングを貫き、セイバーメトリクスが唱える常識を覆すような選手に育っていってほしいと思っています。

最後に

いかがだったでしょうか?

三振の多さ、四球の少なさが目立ちながらも、持ち前のフルスイングで常識を覆し、1軍へと活躍の場を移しつつある梶原選手。

よく「ハマのギータ」として比較されるソフトバンクの柳田選手も新人から2年間のファーム成績では梶原選手より三振率は高い選手でした。

ここから成長を重ね、三振率が減っていくのか。
もしくはアプローチを変え、四球を選べる選手に変わっていくのか。
はたまた、三振も多く四球も少ない選手ながら、類まれな打球の強さで野球界の常識を覆していくのか。

どの方向に成長していくのか非常に楽しみな選手ですね。

個人的な願いを言わせてもらうのであれば、今のスタイルを崩さずに従来の常識を覆すような偉大な選手に成長してほしいと思っています。それだけの魅力が梶原選手にはあるはずです。

1軍での立ち位置を掴みつつある梶原選手。もちろん荒い部分も多いですが、それを上回るだけの魅力がある選手だと思っています。

どのように成長していくのか楽しみにしながら温かく見守っていきたいですね。
今後の活躍に期待です!

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