こんにちは!三浦ベイ輔です。
本日は我らが先発三本柱の一人、東選手について考えてみます。
2017年のドラフト1位でベイスターズに入団し、1年目から二桁勝利。新人王を獲得し、未来のエース間違いなしと思われていました。
しかしその後は怪我にも泣かされ、思うような成績を残すことが出来ず、苦しいシーズンが続きました。
そして迎えた2023シーズン。開幕からフル稼働し、素晴らしい成績を残してくれています。
9勝2敗 防御率:2.19 K%(三振率):18.2% BB%(四球率):3.0%
防御率は阪神村上、広島床田に次ぐセリーグ3位。BB%は今永に次ぐリーグ2位と再び輝きを見せています。
ではなぜ東選手は復活を果たすことができたのか。
データや指標から考えてみたいと思ってます。
ストライク先行の投球と圧倒的なテンポ
まず東選手の投球の一番の特徴は“カウント有利な状況を作る”ことだと思っています。
Zone%(ストライク率):50.5% F-Strike%(初球ストライク率):59.5%
Zone%は規定到達全選手の中で3位。そして何よりも初球ストライク率は59.5%と規定到達選手の中でトップの数値です。2番目に高い日ハム加藤選手が54.4%であることを考えると圧倒的な数値ですね。
当然カウント有利な状況を作ることで相手打者は早めのアプローチを仕掛ける必要が生じます。
被スイング率:51.0% 1打席あたりの投球数:3.44球
被スイング率は12球団トップ。1打席あたりに要する投球数は3.44球と非常に少ない球数です。
同じくゾーン内で勝負するイメージがある我らが今永投手でも4.01球なので、とてつもなく少ないことがお分かりいただけるかなと思います。
東投手は”テンポが良い”としばしば表現されますが、数字にも表れていますね。
ゾーン内空振率
2018年:17.5%
2023年:10.2%
このようにどんどんゾーン内に投げ込んでいる様子を見ると、ゾーンで勝負できる球の強さが増しているように思えますが、実はゾーン内空振率はキャリアワースト。
2018年の新人王シーズンと比較すると大きく落としている現状です。
例年よりゾーン内での空振りが取れていないと、どうしても慎重に入りすぎてしまいそうなものですが、それでも逃げずにゾーン内に投げ込んでいる姿はある種の”開き直り”や”度胸”を感じます。
本人もインタビューの中で、「ゾーンで勝負する分痛打されるケースも増えるが、織り込み済み」である旨の発言もされていました。
ここは個人的にも東選手の好きなポイントですね。
追い込む前 被打率 .328(219-72) 被本塁打 9 追い込んだ後 被打率 .129(208-27) 被本塁打 0
実際に初球からゾーン内で勝負していき、追い込んだ後は相手を圧倒することが出来ています。
相手打者としても「追い込まれると苦しい」という考えがあるからこそ、初球からスイングをしてきます。
その結果として1打者に要する球数が減り、テンポよく、より多くのイニングを投げることが出来るという好循環が生み出せていると言えるでしょう。
ツーシームとスライダーの活用
また東選手の変化として今年は球種構成、球種割合が大きく変わっています。
2022年球種構成
ストレート:48.9%
チェンジアップ:21.3%
カットボール:17.0%
カーブ:10.5%
スライダー:3.1%
昨年は直球以外だとチェンジアップとカットボールが中心。
対右打者は直球とチェンジアップ、対左打者は直球とカットボール中心の組み立てでした。
対して2023年の球種割合はこちらです。
2023年球種構成
ストレート:46.1%
チェンジアップ:14.9%
スライダー:13.1%
ツーシーム:12.3%
カットボール:9.4%
カーブ:4.2%
一つの大きな変化はツーシームを使うようになったという点でしょう。
特に0S-2Bや1S-2B の場面において30%近い割合で使われ、カウント球として有効に活用されているように見えます。昨年まではカウントの悪いケースでもチェンジアップを使っていましたが、ここでツーシームが使えるようになったことで、カウントを整えやすくなったように見受けられます。
東選手の四球率がキャリアハイである理由の一つと考えてもよさそうです。
また、もう1点変わった点はカットボールの投球割合を減らし、スライダーを増やした点です。
今年から腕を下げるフォームに変更したことも影響していると思いますが、より変化量の大きいスライダーを多用するようになりました。
特に対左打者には投球割合26%と特によく使っており、昨年苦しんだ左打者への対応に良い効果が出ています。
対左打者 2022年 被打率.374 被OPS .925 2023年 被打率.232 被OPS .558
こんなに変わるかというくらい変わっていますね。もちろん全てがスライダー効果ではないかと思いますが、対左打者への球種構成を変えたことはプラスに働いているように見えます。
また、変化量が大きくなったことでよりボール球をスイングしてもらえるようになった側面もあるように見受けられます。
ボール球スイング率
2022年:34.2%
2023年:38.1%
スライダー単体で見てもボール球スイング率は40%を超え、追い込んだケースでの決め球としても上手く使えています。今年から割合を増やしたボールを上手く扱えているのは、復活の大きな要因の一つと言って良いでしょう。
球速の進化
最後に東選手の進化した点と言えば”球速”でしょう。
平均球速
2022年:142.9km/h
2023年:145.1km/h
なんと今年の平均球速はキャリアハイ。春先には150km/hを計測しました。元々新人王シーズンから怪我もあり、徐々に球速が下がっていた東選手ですが、ようやく球速が戻ってきた印象です。
球速が戻ってきたからこそ、スライダーやツーシームが活きている側面もあると思いますし、やはり球速こそ正義ですね。
本人は今年のインタビューで「球速へのこだわりを捨てた」と語っていましたが、それでいて球速キャリアハイを更新するのは不思議。もしかしたらまだまだ速くなるのではと期待したくもなります。
我らが今永大先生も30歳になる今年に球速キャリアハイ更新してますし、更なる進化を期待しましょう。
最後に
いかがだったでしょうか?
先日は1ヵ月ぶりの勝ちに繋がる牧選手のホームランに涙を流すなど熱い一面もある東選手。
今シーズンは自身の能力を進化させるとともに、様々なことを変化させた結果としての好成績であることがお分かりいただけたかと思います。
怪我で苦しんだシーズンが続いていた中、シーズン通して活躍してくれているだけですでに感慨深いのですが、個人的には球界を代表するエースになるべき選手だと思っています。
今後の活躍にも期待です。
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データは2023/8/15時点
DELTA様より引用
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